T.M.Y’s × 野村製作所
オリジナルの製造技法で理想の革を追求
東京・墨田区のT.M.Y’s(ティーエムワイズ)は、2023年で創業100周年を迎える歴史あるタンナーだ。
2020年11月にオープンした新工場では、作業動線を考慮したレイアウトを採用するほか、ステンレスのドラムなどを導入して設備の充実をはかった。また、革をより身近に感じてもらうため、多様な革やレザーアイテムを展示したショールームを開設。さらに予約制で工場見学の受け入れを積極的に行い、好評を博している。
2020年11月にオープンした新工場では、作業動線を考慮したレイアウトを採用するほか、ステンレスのドラムなどを導入して設備の充実をはかった。また、革をより身近に感じてもらうため、多様な革やレザーアイテムを展示したショールームを開設。さらに予約制で工場見学の受け入れを積極的に行い、好評を博している。
そんな新工場において、メインで生産しているシープスエードは、常時200色以上の在庫を保有しており、1枚からのオーダーにも迅速に対応。また、ラムやゴートといった革も取り扱っている。
T.M.Y’sは、オーダーに応じた仕上げ加工に定評がある。とくに得意とするのは箔張り加工で、毎年ヨーロッパのファッション素材展に足を運び、世界的に流行している加工法を学んで日本向けにアレンジしている。
T.M.Y’sは、オーダーに応じた仕上げ加工に定評がある。とくに得意とするのは箔張り加工で、毎年ヨーロッパのファッション素材展に足を運び、世界的に流行している加工法を学んで日本向けにアレンジしている。
オリジナルな技術を応用して幅広い種類の革を製造するT.M.Y’sだが、今回注目してほしいのが山羊革を使用している「シップス」だ。
加藤友樹さんはこの革について、「特殊な道具を用いる独自の製造技法と革全体を手揉みする八方揉みによって、型押しのように均一なシボ感を表現しました。この特徴を活かすために、顔料ではなく染料で薄く化粧を施しており、革らしい風合いを際立たせています」と、語ってくれた。
加藤友樹さんはこの革について、「特殊な道具を用いる独自の製造技法と革全体を手揉みする八方揉みによって、型押しのように均一なシボ感を表現しました。この特徴を活かすために、顔料ではなく染料で薄く化粧を施しており、革らしい風合いを際立たせています」と、語ってくれた。
このほか、オリジナルの染色・加脂技術でなめらかな感触を表現した「エントルフィーノスエード」など、多彩な革を用意。「ジャパンファッションEXPO」では、T.M.Y’sのブースにぜひ注目してほしい。
革の質感を活かす繊細なものづくり
ものづくりの盛んな東京・台東区に本社のある野村製作所。婦人物を主軸に幅広い製品をてがけているが、常に意識しているのはハイクオリティーな「野村製作所ならではの品質」
だ。
同社の職人である細野悠介さんは、「製品をつくる際は『これくらいでいいだろう』と満足せず、常に緊張感を維持して完成度を高めるよう努めています」と、気持ちのありようを語る。
同社の職人である細野悠介さんは、「製品をつくる際は『これくらいでいいだろう』と満足せず、常に緊張感を維持して完成度を高めるよう努めています」と、気持ちのありようを語る。
T.M.Y’sとは以前から付き合いがあり、良好な関係を築いている。
「工場へ行くと、面白いと思える革が必ずあるタンナーさんです。加藤さんの若さもあってか、こちらの要望に応じて用意してくれる革にセンスを感じます」と、細野さんは太鼓判を押す。
「工場へ行くと、面白いと思える革が必ずあるタンナーさんです。加藤さんの若さもあってか、こちらの要望に応じて用意してくれる革にセンスを感じます」と、細野さんは太鼓判を押す。
今回使うことになったのは、先述した「シップス」と「エントルフィーノスエード」の2種類だ。
「『シップス』は、見た目と手にしたときのギャップが大きい革で、ソフトな質感と上品さが魅力です。お財布をつくる際は、縫い返しで革のやわらかさを表現しました。『エントルフィーノスエード』はとても発色のきれいなスエードで、素材優先で形を考え、革の風合いを残しながら繊細な製品に仕上げました」
「『シップス』は、見た目と手にしたときのギャップが大きい革で、ソフトな質感と上品さが魅力です。お財布をつくる際は、縫い返しで革のやわらかさを表現しました。『エントルフィーノスエード』はとても発色のきれいなスエードで、素材優先で形を考え、革の風合いを残しながら繊細な製品に仕上げました」
T.M.Y’sの妥協しないものづくりの姿勢に感化されているという細野さん。今回のT.M.Y’sの革にも大いに創作意欲を刺激され、満足のいく製品が完成した。
「ジャパンファッションEXPO」では、T.M.Y’sと野村製作所によるコラボレーションの妙味を、ぜひ手に取って感じてほしい。
第12回 ジャパン ファッション EXPO 秋 レポート
循環型素材の革で販路開拓につなげたい
なめらかな感触を表現した「エントルフィーノスエード」など、さまざまな革を用意したT.M.Y’s。
2年連続で参加となった同社の渡邊守夫さんは、「昨年来てくれたお客様がまたお見えになりました。うちはシープやゴートなどのめずらしい革を製造しているのですが、そういう情報が徐々に浸透してきているのを実感します。パンフレットも配布できますし、こういう展示会は非常に助かりますね」と、継続参加のメリットを語ってくれた。
2年連続で参加となった同社の渡邊守夫さんは、「昨年来てくれたお客様がまたお見えになりました。うちはシープやゴートなどのめずらしい革を製造しているのですが、そういう情報が徐々に浸透してきているのを実感します。パンフレットも配布できますし、こういう展示会は非常に助かりますね」と、継続参加のメリットを語ってくれた。
野村製作所とのコラボレーションに関しては、「小物でもバッグでも洋服でも、『こんな素材でこういう製品ができますよ』という紹介をお互いにすることで、さらに視野が広がります。来場者のみなさんに、もっと革を身近に感じてほしいです」と、非常に手応えを感じている様子だった。
また、サステナブルな視点で革を見てもらうことについては、「販路の新規開拓につながるので、とても良いことだと思います。今回も、『ほかのサステナブル素材と併用したいが、革はどんな過程で生産されるのか』といった質問を受けましたので、一つひとつ丁寧に説明しました。うちは工場見学も受け入れているので、ぜひ確かめに来てほしいですね」と、ポジティブに捉えていた。
野村製作所の大泉和也さんは、「タンナーさんとのコラボは、革だけ、もしくは製品だけだとわかりにくいことを流れで伝えられるので、この展示方法はやっぱりすごくいいと思いますね」と、メリットをあげた。
実際に、実のある商談につながったケースもあったという。
「たとえばクラウドファンディングのアイテムに使いたいといったお話がありました。うちは小ロットでも対応できるので、その強みを役立ててもらえるのかな、と思いましたね。めずらしいものでは『ブレスレットはつくれますか』といった問い合わせもあり、たくさんの人が革に可能性を感じてくれているように感じました」
タンナーとメーカー、両者にとって有意義な3日間となったようだ。
タンナーとメーカー、両者にとって有意義な3日間となったようだ。