【日本革市】NIHON KAWAICHI

きめ細やかな感性と、確かな「なめし」の技術。

一般社団法人 日本タンナーズ協会 Tanner's Council of Japan
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浦上製革所 × ラモーダヨシダ

海洋資源の副産物をなめして革を製造

隣接する姫路市と並び、革づくりの産地として名高い兵庫県たつの市。今回紹介する浦上製革所は、この地で半世紀にわたって製革業を営んできた歴史あるタンナーだ。

2代目の浦元敏光さんは、展示会などで皮革業界の流行をチェックし、いち早く自社の革づくりに活かす研究熱心な人柄。独自の技術を保持し、メーカーからの多様なオーダーに応える。

オイル・ワックス仕上げで革の魅力を引き出すクロムなめしをメインに、環境への負荷を考慮した植物タンニンなめしにも対応。また、Uragami Leather(ウラガミレザー)という名称で硬式野球のグローブ用レザーも製造しており、製品になったときに型崩れしない革として野球関係者にもその名が轟いている。

そんな浦上製革所が特別に力を注いでいるのが、地元の海洋資源であるナルトビエイの皮をなめした新製品「ミツイーグレイ」だ。

「近頃は瀬戸内海でエイが増えていて、養殖のカキや潮干狩り用のアサリがみんな食べられてしまうんですわ。そやから漁師さんがエイを水揚げして身を食用に回すんやけど、余った皮を有効に使えへんかいうことで話が回ってきたわけです」

浦上製革所では初めてとなるエイ革の製造。浦元さんいわく「とにかく難しい。判が小さいから牛革用の道具やとすべてが大きすぎるし、熱や薬品にも弱いからなめすにも独自のレシピがいる。苦労の連続でしたわ」。

ナルトビエイの原皮は部位によって厚みが異なるが、手作業による丁寧な裏打ち処理によって製品化しやすい厚みを持たせ、なめしの安定化を図った。その後、トライアンドエラーを繰り返し、満足のいく仕上がりになったという。

「試験をしたら、牛革と遜色ない引き裂き強度がありましたわ。見た目と違って手触りもやわらかやし、素上げだからエイ革本来の風合いも残ってる。地元の資源を地場でなめして、特産品になったら理想的やと思います」

浦元さんはそう言って、満足そうな笑顔を見せた。

エイ革の風合いを活かしユニークな財布に

希少なるエイ革を使ってプロダクトを製造したのは、1961年から続くラモーダヨシダ。主力となる財布をつくり始めて60年の歴史を誇る、国内最大手メーカーだ。

創業当初はOEMのみの製造だったが、1978年よりプライベートブランドmic(ミック)をスタート。2003年にグッドデザイン賞を受賞したヒップポケットシリーズ以外にも、数百種類に及ぶプロダクトを世に送り出し、良質なものづくりでファンに支えられている。

ラモーダヨシダの高窪元弘さんは、初めてエイ革を見たときのことを「何の革なのか見当もつきませんでした」と振り返る。同時に、創作意欲も高まったという。

「すでに世の中にある製品をつくっても仕方がないし、めずらしい革でうちにしかできないプロダクトをつくろうという気持ちになりました。浦元さんもとても協力的で、電話でエイ革を製造することになった経緯などを説明してくださったので、背景を理解したうえで製作に入れました」

とはいえ、エイ革を使うのは今回が初めてのこと。製品にするまでに創意工夫を凝らす必要があった。

「判が小さいので、まずは裁断効率を上げるためにハギを入れました。ヘリ返しが難しかったため、表は切れ目にしています。また、薄さを補うため中面に浦上製革所でつくられたヌメ革を使いました」

こうして完成した財布は、エイ革ならではの風合いを感じさせるユニークな仕上がりとなった。高窪さんは、「ミツイーグレイ」を通じて日本の天然皮革の底力を改めて感じた。

「浦上製革所さんをはじめ、みなさん研究を重ねて繊細な感覚で革を仕上げているように感じます。日本エコレザー基準(JES)の認定を受けるなど、環境面へ配慮しているところにも共感を覚えますね」

タンナーとメーカーが共有する持続可能なものづくりという信念。その思いは、きっと消費者にも伝わるだろう。

第6回 国際 生地・素材EXPO 秋 レポート

革の持つストーリーを存分にアピール

革づくりの一大産地として知られる兵庫・たつの市で、半世紀にわたり皮革製造を続けてきた浦上製作所。構成展『第6回 国際 生地・素材EXPO 秋』では、地元の海洋資源であるナルトビエイの原皮をなめした新製品を主力に据えた。

「エイ革は見た目のインパクトが強いので、驚かれる方がとてもたくさんいらっしゃいました。たくさんの来場者にアピールできた気がします」

そういって満足そうにうなずくのは、2代目の浦元敏光さん。とりわけ若い世代への訴求力が強かったそうで、「地場産業としてエイ革の製造に取り組んでいるというストーリーがあるので、ネットショップの方などはそこに興味を持ってくれましたね」と、印象を語った。

また、老舗メーカーのラモーダヨシダとコラボレーションしたことも利点があったという。

「製品と一緒に革を見ていただけるので、革について説明しやすかったです。ラモーダさんのブースを見た方がこっちに来る、逆にこっちのブースを見た方がラモーダさんに目を向けるといった流れができて、良かったと思います」

浦上製作所のエイ革でプロダクトを手掛けたラモーダヨシダの高窪元弘さんは、「エイ革を使った製品に対する反響は大きかったですね」と、手応えを感じたよう。

「タンナーさんと一緒に展示会に参加するのは初めての試みでしたが、『この革でこの製品をつくっています』と説明しやすく、個人的にはとてもやりやすかったです」

製品の丁寧な仕上がりに惹かれたのか、これまで付き合いのなかったような異業種からの相談も少なくなかった。

「オーディオメーカーの方から、ヘッドフォン/イヤホンのケースをつくれないかというお問い合わせがあったり、クラウドファンディングの返礼品を革製品でつくりたいという方がいらしたり、まったく予想していなかった出会いがありました。今後の商談へ発展することを願っています」

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