素材から作りまでメイドインジャパン。
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日本の皮革製品メーカーMaker

機能性、デザイン性、存在感のバランスを重視
有限会社 アトリエフォルマーレ(東京)

1若手職人育成のためスクールを併設

遊覧船の走る隅田川よりほど近い場所に位置するアトリエフォルマーレ。代表の三原英詳さんは、1999年に個人ブランドSAN HIDEAKI MIHARA(サンヒデアキミハラ)を立ち上げ、2003年にアトリエフォルマーレを設立した。
現在のオフィスは、建物の1階を検品所、2階を事務所、3階をスクール兼シェアオフィスとして利用。革にまつわる多様な業務を一手に引き受けている。
大きな特色は、工房の機能と職人を育成するための「バッグクラフトマスタースクール」を併設している点だ。ベテランのサンプル職人である大月照雄さんを校長に据えたスクールは創業時より続いており、多くの卒業生が皮革業界で働いている。
「そもそもは、自分たちとセンスを共有できる若い世代の職人を育てたいという趣旨で開講しました。かつては『見て覚える』が当たり前の世界でしたが、遠回りせずに済むよう、ものづくりを基礎から教えています」
また、2020年1月には長崎の壱岐島に、雇用創出事業の一環として自社工場を開設。現地の若者たちを雇い、ものづくりの楽しさと喜びを伝えている。

2世界でひとつだけの組み立て式バッグ

アトリエフォルマーレのクリエイティブのコンセプトは、機能性、デザイン性、存在感の融合。この基本理念をキープしつつ、いくつかの異なるラインを打ち出している。
20年以上続くSAN HIDEAKI MIHARAは、「男性視点のレディースもの」を意識。三原さん曰く、「女性視点で制作するアイテムのかわいさやフェミニンな雰囲気には勝てないので、力強さなどを加えて独自性につなげています」。
近年認知度が急上昇しているYUFU(ユフ=結ふ)は、ハンドルやベルトなどのパーツを自由に組み合わせてつくるユニークなバッグを展開。
「当社のバッグを格好良くカスタマイズしている方が多くて、それなら初めから組み立て式にしようという発想で始まりました。パーツのカラーも豊富に揃えており、世界で一つだけのオリジナルバッグをつくることができます。既存の製品で満足できないという方に好評です」
革とは異なる素材のプロダクトづくりにも積極的だ。錚々たるブランドとのコラボレーションで話題を集めている。

3人を元気づけるプロダクトの力を信じて

アトリエフォルマーレでは、日本でなめした天然皮革を多く使用している。三原さんはその魅力をどのように感じているのだろうか。
「日本のタンナーさんは、革を加工する技術では世界でもずば抜けたレベルにあると思います。ゼロからイチを生み出すクリエーションの力はイタリアなどに勝てないかもしれないけれど、イチをヨン、ゴにする能力に長けている。プライスを抑えてクオリティを保つのが得意で、そこに真面目さが表れているように思います」
その気質は、ものづくりにおいても共通していると三原さんは話す。
「日本のプロダクトは品質がとても安定しています。ただ、アウトとセーフのギリギリのラインまで攻めるバランス感覚はあるけど、そこを超えて勝負をしない傾向も感じられます。そのラインを超えられる欧米のアバウトな感覚には、見習うべきところがあるように思いますね」
三原さんは普段からバッグの展示会には赴かず、トレンドの家具や雑貨、洋服などから着想を得るようにしているという。「形から入らず、アイデアを心臓部にして気持ちを入れたバッグをつくりたい」と、言葉に力を込める。
「これからも、人の心を感動させるものづくりをしていきたいです。このご時世でアパレル業界自体が不要不急と言われますが、魅力的なプロダクトには人を元気にする力があると信じています」

2020/9/23 公開
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