コスメブランドやジュエリーブランドが「クリスマスコフレ」や「アドベントカレンダー」などの限定品を10月末に発表するのを見ると、今年のような温かい秋冬でも「あぁ、もう1年が終わるのだな。」と思います。となると、1年がんばった自分に、普段なかなか会えない友人や家族に会える12月を前に、やっぱり何かをプレゼントしたくなったり、プレゼントの下見を始めたり、というかたもいらっしゃいますよね。私もそうです。11月、12月の「革市通信」のトピックは「ギフト」です。
ちょっと贅沢したい気分ではあるけれど、限られた時しか使わないような特別感が欲しいのではなく、これから長く愛せるものを選びたいかたに、「本革」のアイテム、特に総革のバッグや財布はその期待に応えてくれるのではないでしょうか。今回は「エイジング」をキーワードに、一緒に過ごしていくのが楽しみになるような、自分へのギフトアイテムを6つご紹介いたします。
老舗メーカーの「気配り」が詰まったA4シンプルトート
「ビジネスカジュアル」にはブリーフケースではなく「トートバッグ」を合わせるかたも多いはず。ナイロン生地などは軽さも魅力的ですが、やはり「きちんと感」やジャケットスタイルをよりシャープに見せるならレザートートを。馬革なら、牛革に比べ比較的軽く、お荷物が多いかたや、女性にもお勧めしたいのがこちらです。作りには「長く使っていただけるように」という気配りがあるのがわかります。ぱっと見では金具類が見えないため、マットな質感の落ち着いた印象。使い続けるうちに、本革ならではの自然なツヤが出てきます。凹凸のある表面は、無地で明るい色のものでも傷や汚れが目立ちにくいのも嬉しいですよね。B4サイズもあります。こちらでは写真のご用意が無いのですが、レッドも素敵ですよ!
「メッシュ」でもこの素材ならこの軽さ
熟練の職人の手によってきっちりと編み込まれた「馬革」のメッシュ素材。1枚の革に切り込みを入れてそこに細い革片を通しているのではなく、短冊状の細い革のテープを歪みなく編んでいくタイプ。高い技術が要求される作りです。
上部は小さな柄が出るように、細い革を使い、デザインのポイントを作っています。先にご紹介したトートバッグとは全く質感が違いますが、同じく使っているうちに出てくる本革の表情がとても楽しみな素材。自然な色の濃淡が美しいバッグです。「カゴバッグ」のようなカジュアルな印象ながら、レザーなら1年中使えます。
エイジングがデザインされたトート
トートバッグをもう1つ紹介させてください。こちらも長く使うことを前提として、重量がかかるところにフォーカス。美しいエイジングが楽しめるようにデザインとして組み込んであります。
肩に沿うような向きで付けられた細いストラップ、その根元から下に伸びるタック、シャープになってくるラインとは対照的に存在感を醸し出してくる舟型の底...。オイルを十分に含んだこの革だからこそできる色ツヤとシルエットは、「本革」の更なる魅力を知るきっかけにさえなるかも。革好きさんにも、本革バッグに馴染みのあまりないかたにも使っていただきたい、ユニセックスのレザートートです。
バッグが続いたので、お財布のお話も。トレンド、というよりはすでにたくさんの選択肢の中のひとつとして定着しつつある小さめ財布...ではなく、今日は敢えての大容量のギャルソンタイプから。「日本革市」の会場に来てくださったことのあるかたなら、見たことのあるかたも多いかも知れませんね。どこの会場でも人気で、色々な品番がある「ANNAK(アナック)」のお財布たち。その中でも、特に目を引いているのがこの大きめのこちらです。
「華」のあるエイジングならこれ
ギャルソン仕様になっているコインスペースが、ストッパー付きで慣れないかたにも安心してお使いいただける大型長財布。カードは19枚も入ります。とはいえ、しっとりと馴染む本革の風合いは、この大きさでも持ちやすいんです。ファスナーのスライダーも長めでつまみやすいですしね。最近は「レシート」の類がとても大きいですが、そういったものもきれいに整理できそうです。
外側は、ブランドオリジナルの牛革で、きゅっとした肌理(きめ)が感じられるタンニン鞣しの牛革に、他にはない経年変化が楽しめる塗料をのせたもの。使っていくうちにうっすらと色が馴染み、ベースの革の色が覗いてきてからが本番です!長く使うことで愛着が沸く質感と収納力。こちらはゴールドとシルバーですが、他に素材違いや色違いもあり、男性にも女性にも選ばれています。
いいことありますように 「七宝柄」長財布
オーソドックスなラウンドファスナータイプも1つ。カードポケットが12段、真ん中にファスナー付きのコインスペースがある、定番的なデザインのラウンドファスナー長財布。たくさん入れすぎてしまっても、しっかりファスナーで閉じられるのが良い、と安定的な人気がありますよね。外側に装飾物が無いので、色柄が特徴の素材を使うブランドでは欠かせない型です。
「印伝(いんでん)」の漆は使っていくうちに空気中の水分を含みツヤが出てくると言われています。キラキラと光るその柄は、縁起の良い吉兆柄をベースにした「七宝」文様。漆の輝きがそこに高揚感と高級感を纏わせ、毎日使うオーナーの気持ちを前向きに明るく整えてくれそう。ベースに使われている鹿革も、本革ならではの経年変化が進み、質感の違う2つの繊細なツヤを楽しめる宝物になるような長財布です。ご自身のラッキーカラーは赤なのに、お財布では選べなかったかた、いらっしゃいませんか?「赤い財布」。こちらならいかがでしょう。
最後に、アウターを着る季節にお勧めしたいバッグを1つ。
片薄マチのショルダーバッグ
A4サイズが入る大きさですが、マチは片側にだけ。開口部は斜めになっており、革の柔らかさも相まって、斜めがけにした時に体にフィットする作りです。このかさばらないシルエットのため、アウターの中にかけて持つかたもいらっしゃり、厚着になる冬でも動きを邪魔しにくいスリムなショルダーバッグです。ベルトのバックルが「穴」のあるタイプではなくスライドさせるタイプで自由自在。どんな体型、どんなファッションにも合わせることができます。写真の他にも、上品なカラーバリエーションを揃えています。オイルをたっぷり含ませた牛革「ビゾンテレザー」を使用。色ツヤの変化はメーカーサイトでご確認ください。
小型のノートPCを入れて使うかたもいらっしゃるそう。大は小を...ではなく「薄いから」というパーソナルな使いかたが見つかりますように。
今回は、自分のために選びたい本革アイテムを見ていただきました。「JAPAN LEATHER ITEM」の掲載アイテム数は、11月頭の時点で586点になりました。スクロールして下のほうまでいくと、「キーワード検索」もできるようになっています。「今年一番のお気に入り」を「日本革市」で見つけて下さると嬉しいです。
鮮やかな紫色の、エルク革のペンケース兼メガネケース。私はメガネを入れていて、映画館の暗い中などでも、バッグの中に手を入れるとこのエルクの独特の肌触りですぐに見つかるんです。癒される質感ですしね。鮮やかなグリーン、コードバンのミニ財布は、日本革市Web「JAPAN LEATHER ITEM」でも取り扱いのある「Flathority(フラソリティ)」のもの。中にはメタルの鍵とカードキーを入れて4月から使っていて、少しずつ増えてくるキズや当たり、そして次第に変わっていく色を楽しんでいます。
次回、12/6(金)の革市通信もギフト特集です。
それでは、また。
文/鎌倉泰子