強度を重視して製品をつくる革の仕立屋
株式会社 リーブス(福岡)
1シンプルで長持ちするアイテムづくりが信条
ノベルティのメーカーとしてスタートしたリーブス。1991年より長らくファブレス経営だったが、2000年頃にレザープロダクツの製造に事業内容をシフトし、当時は日本の協力工場および中国の自社工場でアイテムを生産。そして、2012年には福岡の直営店舗に自社工房を併設した。
「これからの時代を考えると、メーカーは製造直売でないと厳しいはずです。息子が会社に入るタイミングで、ものづくりをするなら入社してもいいという条件を出しました。私自身には、とにかく世代交代をしたいという思いがあったのです」
そう話してくれたのは、代表取締役の葉山盛一さん。息子の葉山貴俊さんはこの言葉を受け、メーカーで一年間修業したのち、リーブスに合流。現在は、制作・企画部長という肩書で、製品のデザインから製造までをすべて行っている。
「僕が入ってから、2014年に自社ブランド「Foglia(フォーリア)」を立ち上げました。シンプルで長持ちするアイテムをつくりたいという思いが強く、何を製造するにしても強度を重視しています。僕自身は、デザインよりも仕立てを褒められる方がうれしいですね」
当初はアイテム数も少なかったが、その数は徐々に増加。需要の高まりに応じてスタッフも増員し、貴俊さんが自らレクチャーしてレザークラフト未経験者を育てていった。現在は、主力となるメンズバッグを中心にユニセックスのアイテムも展開し、性別を問わずに支持を得ている。
2ものづくりで何より大切なのは革の質
Fogliaの製品をつくるにあたって欠かせないのが、兵庫県たつの市のマルヒラが製造している「ビゾンテ」というレザーだ。
「ビゾンテは、クロムなめしをした後にタンニンなめしをするコンビネーションレザーです。革の芯にまでオイルが浸透しているので、製品になったときに、独特の経年変化を見せてくれるのが魅力的です。中縫いと外縫いを使い分けて、雰囲気の異なるアイテムをいくつか製造しています」
ビゾンテを使ったアイテムで好評なのが、ビジネスバッグとドクターリュック。デザイン先行ではなく、製造工程において機能性と堅牢性をとことんまで追求しているため、ユーザーから「使い勝手がいい」「丈夫で長持ちする」という声があるという。
「僕は20代なのですが、いろいろなタンナーさんとお付き合いをさせてもらうなかで革について勉強させていただき、たくさんの知識を吸収することができました。とくにビゾンテはクオリティの高いレザーなので、これからも長く使わせていただきたいと思っています」
リーブスとマルヒラは問屋を介した関係性。それでも貴俊さんはビゾンテに絶大な信頼を寄せているため、今後もこの革を長く使い続けるつもりだ。
3ユーザーの意見とともに成長していきたい
革の品質に何よりも重きを置く貴俊さん。そこで、ジャパン・レザー全般の魅力についても伺ってみた。
「どのタンナーさんも、メーカーさんやユーザーさんのことをしっかり考えた、軽くて使い勝手のいい革をつくっていらっしゃるように感じます。その思いに応えて、僕たちも良質なプロダクトを製造し、国内だけでなく海外でも広くアピールしていければ理想的です」
貴俊さんはジャパン・レザーに魅力を感じており、普及への意欲も十分のようだ。
「最終的には、海外の展示会で販売していけるブランド力をつけたいです。そのためには、地に足をつけた日々の努力が大切。お客様の声を製造にフィードバッグして、製品のクオリティを少しずつ向上させています。いろいろな意見をもらいながら成長していければと思いますね」
20代ながら将来へのプランを練っている貴俊さん。この考えに、盛一さんも同調する。
「一番大事なのはファンづくりです。直営店や催事などで、お客様のフィードバックをいただくスタンスを続けていければ理想的ですね。今後も、使っている瞬間を特別な時間だと感じてもらえるようなアイテムをつくっていきたいです」
盛一さんから貴俊さんへと受け継がれた思いは、着実に実を結びつつあるようだ。