プロであればクオリティが高いのは当たり前
株式会社 パーリィー(東京)
1エルクレザーをはじめさまざまなアイテムを製造
革販売店で働いていた白潟篤さんがパーリィーを創業したのは1985年のこと。当初からOEMは考えておらず、自社ブランドを立ち上げ、ミシン一つで工房を構えた。
白潟さんは当時を振り返って「1カ月目の売り上げは8万円でした」と笑うが、さほど時間もかからず軌道に乗り、あれよあれよという間に30年を超える月日が流れた。
パーリィーではさまざまなプロダクトを製造しているのが、メインとなるのはやわらかなエルクレザーを使った革製品で、ほかにもさまざまなアイテムを製造している。
「革製品をつくるには、すべての工程において高い技術力が要求されます。けれど、プロであれば出来て当たり前、というところもある。そのあたりは、うちの工房はみんなよくやってくれていると思いますね」
2カブトムシ好きにはたまらないアドバン仕上げ
そんなパーリィーで近年とくに力をいれているのが、アドバン仕上げの革を使った「パーリィークラシックシリーズ」。色味にグラデーションのある革を使っているが、製革を依頼しているのは姫路のタンナー、山陽だ。
「山陽さんでキップを扱っていたので、最初に一度頼んでみたんです。そのときに完成品を見たら品質が良かったので、それからずっとお願いしています。こまかなオーダーにしっかり応えてくれるタンナーさんですね」
そもそも白潟さんは大のカブトムシ好きで、前々よりアドバン仕上げの革を使ってみたいと思っていたそう。山陽の技術力によって満足のいく革が手に入るようになった現在は、バッグ、長財布、コインケースなど、15種類近いアイテムを製造している。
「ほかのアドバン仕上げとの違いは、後磨きを丁寧にしているところです。こうすることで、後々のエイジングが随分と変わってきます」
東京と姫路の距離をものともしない協力体制が、パーリィークラシックシリーズを誕生させたのだ。
3ショップ兼工房をつくるのが今後の目標
日本の革を使って次々とヒットシリーズを登場させるパーリィー。ジャパン・レザー・プライド・タグに対しての考え方も気になるところ。すると、白潟さんの息子であり、同社でゼネラルマネージャーを務める夏樹さんが、「付けることによって日本製だと気づく人もいるだろうし、生産者の顔が見えることはメリットですね」と答えてくれた。
今後もさらなる発展を目指すパーリィー。白潟さんは、ある未来予想図を描いている。
「理想はショップ兼工房にすること。気軽に入ってもらって、革が好きな人がきたら『ちょっと何かつくっていけば?』と声をかけられる環境にしたいです。お客さんとの会話はものづくりのヒントになりますから」
白潟さんがそう話すと、夏樹さんも大きく頷いた。