ファミリーで使える機能的なアイテムを生産
株式会社 DIECI-LABO(東京)
1ブランドを展開しつつショップも運営
ものづくりに集中したい――。田村晃輔さんがDIECI-LABO(ディエチ・ラボ)を立ち上げたのは、そんな理由からだった。
レザープロダクトの制作を始めたのは大学時代。たつの市で皮革工場を営んでいた親戚から革を譲り受け、見よう見まねで始めた。そのうちにオーダーが入るようになり、「ものづくりを仕事にしたい」という思いが固まっていった。
卒業後に入社したメーカーでは、営業からサンプルづくりまでを一通り経験。「今の僕が何でもつくれるのは、この5年間があったからです」と語るが、ものづくり以外の仕事には少々疲弊もしていた。
独立を果たしたのは2005年。中古のミシンと漉き機を1台ずつ購入しての船出だった。当初から経営は順調で、徐々に受注は増えていき、スタッフも増員。
2013年にはブランド「numeri(ヌメリ)」と同時に、田村さんの奥さまが運営する焼菓子ブランド「MIWAKO BAKE(ミワコベイク)」とのコラボレーションショップ「CAMERA(カメラ)」をオープンする。
「ものづくりをして、催事に行って、ショップを見て。毎日ドタバタしています」。そう言って笑う田村さんの顔は、充実感に満ちている。
2母から娘へと受け継がれるようなプロダクト
それでは、ここでnumeriについて紹介したい。
「numeriはイタリア語で数という意味。お客さんにとってのラッキーナンバーというか、そういう存在でありたいという思いを込めています」
はじめに発売したプロダクトは、「Base(ベース)」というバッグ。以後、バッグだけで約10型を製造している。使用している革は、空打ちしてシボ感を出したシワヌメ。こちらの革は、前述した親戚のタンナーで製造している。
そのほか、財布などの小物類も生産しているが、注目は松岡皮革のカーフを使っている口金の財布だ。
「松岡さんはソフトな革が得意で、色も僕の要望する絶妙な中間色に可能な限り近づけてくれる。何度も試作を出してくれて、本当にありがたいです。すごく気も合って、彼がたつのから東京に来るたびに食事をしています」
プロダクトはどれもシンプルながら機能性に富み、性別を問わず大人から子どもまで使えるのが魅力。田村さんは、「母から娘へといった具合に、ファミリーで使ってもらえると嬉しいです」と、話してくれた。
3日本の革のPRにはさらなる工夫が必要
自身もレザープロダクトを愛用する田村さんは、その使い方にある提案をしてくれた。
「革製品は経年変化が楽しめるから、やはり長く使っていただきたいです。でも、同じものをずっと使っていると傷むのも早い。僕としては、さまざまな色のアイテムを揃えて、季節によって使い分ける方法をお勧めしたいです。気分も切り替わるし、革製品を取り入れた暮らしがより良いものになると思いますね」
また、ジャパン・レザー・プライド・タグについても、さらなる周知のための方法を考えている。
「JLPタグは、日本の天然皮革というだけではなく、どこのタンナーがつくったのかまでわかるとより浸透するのではないかと思います。たとえば、タグにQRコードをつけて、WEB上で各タンナーの製造工程を動画で紹介するとか、それぐらいの大胆さがあるといいかもしれませんね。丁寧に周知していくことで経てこそ、たくさんの人に伝わっていく気がします」