1. 「革(かわ)」ってなんだろう
私たちの暮らしの中には、実に多くの革製品が使われています。たとえば、靴、かばん、ハンドバッグ、衣料、手袋、ベルトなどあらゆる分野で見られます。
いったい革にはどのような魅力があるのでしょうか。
それは、しなやかで強靭、上品で優雅、永く使い込むほどに革本来の持ち味が発揮されるといったところでしょうか。
動物が生存するための活動を助ける自立調節をもった皮膚構造は、自然の摂理の妙といえるでしょう。
その構造は一番外側に表皮があり、その下に革になる最も大切なコラーゲンというタンパク質繊維でできた真皮があり、その下に肉面に接する結合組織があります。複雑で合理的な絡み合いにより神秘的な機能が現れているのです。
革は一枚一枚がそれぞれ違った顔を持ち、同一のものは絶対にありません。革は生き物そのものであり、それぞれが生きています。そして、やわらかい肌ざわり、深みのある色合いや美しさは、人工では決して真似のできない革独自の特性です。
動物の皮は、闘いの傷跡、鉄柵や灌木、茨のトゲなどによる傷やきり傷などの傷跡があり、長い間生き抜いてきた証である首のヒダ、血筋などが見られます。これらはまさにその動物の「生命の証」として創造された自然の模様なのです。私たちは、この自然の模様を革のキズとして見て、とかく避けがちですが、革の歴史の古いヨーロッパでは、キズも魅力のひとつとして受け入れられて愛用されています。
参考文献:一般社団法人 日本皮革産業連合会 『革のプロが教える、レザーの基本講座』