2. 皮の構造と成分
動物の皮は、外部からの刺激や危害から体を守るため、繊維で織ったような緻密な美しさを持ち、驚くほど精巧で合理的な構造をしています。
皮の構造は動物の種類によって異なりますが、代表的な皮である牛皮の断面構造は下図のとおりで、表皮と真皮からなります。革として利用されるのは、このうちの真皮の部分。真皮はさらに乳頭層と網状層に分かれます。
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表皮(ひょうひ)
皮の一番外側の部分。なめして革になる際は石灰漬け工程で取り除かれる。
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膠原繊維束(こうげんせんいそく)
コラーゲンからなる細かい繊維が合流したもの。引く力が強く、皮に柔軟性を与える。
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皮下組織(ひかそしき)
真皮とその下の筋膜とをつなぐ結合組織の部分。真皮と比較すると繊維の配列が粗め。
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乳頭層(にゅうとうそう)
膠原繊維束が緻密に絡み合った部分。
革では乳頭層の表面を「銀面」と呼び、銀面の良し悪しは革の価値に大きく影響する。 -
網状層(もうじょうそう)
膠原繊維束がまとまってさらに太い繊維束となり、ゆるやかに絡み合っている部分。
革では柔らかい質感と風合いを出す源となる。 -
真皮(しんぴ)
表皮の下、乳頭層と網状層を合わせた部分。
また、動物の皮の成分は、主に次の3つのタンパク質からできています。
コラーゲン
皮の主成分で、タンパク質からなる繊維のこと。皮のほか骨や歯、腱、血管、筋肉などあらゆる組織に分布している。皮をなめす際になめし剤と結合して革をつくる。
エラスチン
弾性繊維を構成するタンパク質。乳頭層、血管の周囲、皮下組織などに分布する。
ケラチン
毛、表皮、ツメ、角、蹄などを構成するタンパク質。
参考文献:一般社団法人 日本皮革産業連合会 『革のプロが教える、レザーの基本講座』