
この夏も平年より暑いという発表がありましたね。でも、昨年どのくらい大変だったかは忘れてしまっていますし、私は梅雨の合間、猛暑の前は「お出かけ」の機会が増えるので、まずは出番が多くなる小さめレザーバッグの点検、手入れなどをしているところです。新しいケアグッズを試してみたり、ね。先月「日本革市」で酷使してしまった本革シューズは、久しぶりにプロの手に任せています。
お手入れをしながら思うことがあるんです。それは、夏の装いに「レザー」は雰囲気が重くて合わない、汗や雨などで水気に触れるので手入れが大変、とお考えのかたがまだ少なくないこと。そんなことないのに...。ここ数年で本革にも「扱いやすさ」「機能」が備わり、色のバリエーションが増えていることは度々ご紹介させていただいておりますので、今日は特に「夏」を意識したレザーアイテムを一緒に選んでみましょう。
白スニーカーみたいに「白いバッグ」
柔らかい本革じゃなければ生まれない、ギャザーを寄せたこのシルエット。タンナーとデザイナーが力を合わせ、特別なオイルのレシピとアイロンで仕上げたコレクションです。「真っ白」でないため、もちろん通年お使いいただける色味ですが、やはり「白」は夏に活躍してくれる色。濃い色のコーディネイトや、布の分量が多いスタイリングの時でも、1点投入するだけで、「ヌケ感」を作ってくれる「白バッグ」です。
裏地には、テフロン加工をして汚れがつきにくいものを使っています。長財布が入る大きさです。

(メーカー:有限会社 清川商店)
小さいバッグには小さいお財布
先にご紹介した白いバッグは「長財布が入る」とお話しましたが、やはり1つ持っていると便利なのが、小さいお財布。もはや定番アイテムになりつつある「フラグメントケース」の中でも縦横バランスがコンパクトなこちらはいかがですか?「手ぶら」で出かけたいかた、お財布はポケットに入れたいかたにもいいですよね。
汚れやキズが目立ちにくい細かい「シボ」の型押しは、本革アイテムのお手入れなどに少し不慣れなかたに是非使ってみていただきたい素材。コンビネーション鞣し(なめし)で、色の鮮やかさがありながら、少し「本革っぽさ」も感じられる経年変化も楽しみです。
右下の「アンカー(錨)」のマークが夏気分を盛り上げます。バッグの中で見つけやすいポップなカラーと定番色を揃えた7色展開です。ギフトにもよさそう。
「カゴ」感覚で使いたいメッシュ素材
「日本革市」Webサイトを普段からご覧くださっている皆さまでしたらご存じかもしれませんが、「本革」と言っても原皮(げんぴ=原料となる皮)の種類と加工方法は様々。「編み込み」「メッシュ」と呼ばれるものは、表面積の倍ほどの革を使うので必然的に重くなってしまうのですが、こちらのように「馬革」を使うと重さはかなり抑えられるんです。
こちらのバケットバッグ、開口部は断ち切りでラフに仕上げていますので、見た目の印象も軽やかで、カジュアルなスタイリングにピッタリ。使っていくうちに色は濃くなりツヤも出てきます。いわゆる「革らしさ」と、メッシュで軽やかなカゴのような印象を作り、1年中楽しめるアイテムになりました。夏はこんな風に、やはり断ち切りのナチュラルな本革を使ったサンダルと合わせたくなります。リネンのドレスやデニム、リゾートスタイルにぴったり。
バッグは3色、サンダルは4色展開です。
ボヘミアンスタイルの一味違う「斜めがけ」
バッグが続き、こちらも馬革。裏地を付けず、柔らかくなるのに任せたデザインで、使い続けていくと布のようなくたっとした質感になってきます。遊牧民の革製の水筒「ボタス」をイメージして作られたと聞くと、この個性的なシルエットにも納得です。
ショルダーストラップは穴無しのスライドタイプなので、ウェアのボリュームや持ち方に合わせて自由に長さを変えられます。ボタスのイメージと口を縛ったようなデザインは、グラディエーターのようなサンダルに合いますね。男性にも女性にも選ばれているデザインと色。「旅」に出たくなるような雰囲気の本革バッグです。
一度足を入れたら忘れられない解放感!
「日本革市」の現場でも、お問合せが多いのがこちら。シンプルなアッパーのデザインがお洋服に合わせやすいのはひと目でわかりますが、皆さまが選ばれる理由はもうひとつ、インソールのフィット感です。
こちらのサンダルは、「世界で活躍するトップアスリートの特注も手掛ける「中敷き」「インソール」のプロフェッショナル、「藤原化工株式会社」のオリジナルブランド「...AshiOtO(アシオト)」のもの。着地時に力を分散させ、クッション性と軽さを追求、驚きのフィット感を実現しています。

(メーカー:藤原化工株式会社)
素足をきれいに見せる、柔らかいパール感のある色味で、履き込んだシワも目立ちにくい本革を使っています。気持ちのよいお天気のもと、たくさん歩きたくなる時に。涼しくて、快適、デイリー使いしやすいレザーサンダルです。
最後にもう1点。
夏のおでかけ、リラックススタイルに合わせたい本革アイテム、ちょっと「ソフト」な印象のものをご紹介しましたが、しっかりつくり込まれたこちらも、この時期是非お手に取っていただきたいひとつです。

(メーカー:筒井株式会社)
竹かごのように見える艶やかなメッシュは、適度な厚みと強度のある「水牛革」。シート状のものに紐状のものを通して編み込む「差し込み手法」ではなく、紐状の本革をきっちり丁寧に編み込んでいるので、1ヵ所に強い力がかかっても分散され、型崩れがしにくいのだそう。
ファスナーを閉じていても、小さなものの出し入れが簡単な「あおりポケット」や底鋲など、本革製品を普段使いし、長く大切にされるかたに寄り添ったデザインです。ハンドルや舟底には牛革をあしらい、「カゴバッグ」ではなくクラシカルな「ハンドバッグ」の要素も。合わせるお洋服によって、バスケットにも本革バッグにも見え、通年お使いいただける高級感のあるバッグです。
夏に是非楽しんでいただきたい7つのレザーアイテム、お気に留めていただけましたか?「日本革市」Webサイト内のコンテンツ「ジャパンレザーアイテム」には、ほぼ毎週お品物が追加されています。腕を見せる季節の時計ベルトや、シンプルなワンピースをマークする細いベルトなど、ファッションアイテムもこれからまだまだ増やしていきますので、お見逃しなく!
黒やブラウン以外のレザーアイテムをお使いになったことがないかた、「夏」の間に慣れてみてください。白に抵抗があるかたは、サックスブルーやピスタチオ、ライトグレイなどの薄いお色からスタートするのはいかがでしょう。コーディネイトの幅も広がります。表革でかつ「シュリンク加工」や「型押し」されたものを選ぶと、汚れやキズも目立ちにくいのでいいかも知れません。
次回の「革市通信」は8/4(金)。今年前半の人気ランキングの発表です。私も楽しみ!
文/鎌倉泰子