「1年って早いものですね」などとは言いたくない!のですが、言います。1年、というより私にとっては「日本革市」のイベントが盛り上がり始める9月から11月の3ヵ月が一瞬で過ぎるのです。各地を廻る出張の合間に、各出展社の新作や人気アイテムの再入荷をチェックしながら、クリスマスに皆さんにご紹介するものを考えていました。
前回の革市通信で、10月末までの人気アイテム上位10点をご紹介しましたが、他にも皆さまの「こんなの探してた!」「持ってたら楽しい!」という、生活を彩るアイテムや、「今使いたい!」というトレンド感のある物など、色々な本革製品がまだまだあります。その中から今回は9つ、クリスマスのギフト、年末年始のおでかけにも便利なアイテムをご紹介します。
2022年の私の最注目アイテム「マイクロバッグ」
海外のコレクションのルックに登場していたのを見て「欲しい!」と思いながら実はまだ持っていないアイテム「マイクロバッグ」。とにかく小さいけれど、あくまでも「斜めがけバッグ」にカテゴライズされていて、ショルダーストラップも、胸元に下がるロングネックレスではなく「バッグ」のようにウエスト部分まで届く長さなのがポイントです。
数枚のカードと折ったお札をファスナー付きの本体に入れます。開口部は小さいのですが、よく見てください、少しだけL字に下がっているんです。これで開閉のしやすさ、中の見やすさが全然違うんですよ。コインはがま口の部分へ。ストラップは取り外しができますので、小さなお財布としてバッグの中に入れても使っていただけます。お財布でもない、バッグでもないようなかわいいアイテム。毛付き牛革の部分は柄に個体差があるので、1点物と言ってもいいですね。
プロダクトとしても美しい精巧な作り
バッグ類の大きさの細分化、小型化とキャシュレス化で、小さなお財布を選ばれるかたも増えていますよね。その一方で、折らずに持ちたいお札やカードを入れる極薄の束入れとたまにしか使わない小銭は分けて、お財布を2つ持つかたもいらっしゃいます。
こちらは、生産できる職人が激減している、馬蹄型のコインケース。見た目はふっくらと仕上がっていますが、正確に裁断、縫製されていて、空気の通り道さえ制限されているような精巧な作り。高い技術に裏付けされたデザインの美しさで、持っていることに喜びが感じられるような一品です。良いものを長く使いたいというかたに、きっと喜んでいただけるはず。「Flathority」のロゴが入った化粧箱入りです。
素材は株式会社 猪瀬と宮内産業株式会社が作った「水染めオイルコードバン」。自然の素材感を残した加工も魅力です。
どこに置いてあるのかがわからなくて探せない「おでかけセット」
ポーチ類のコーナーでもなさそうだし、文房具でもなさそう...。どこに行ったら見つかるのかわからないモノってありますよね。それが、これ。本革の御朱印帳入れと、お守りケースです。
日本の三神の一柱である「ツクヨミノミコト」を祀る、長崎県の壱岐島にある「月讀神社(つきよみじんじゃ)」でご祈祷いただいているという、「YUFU」の革小物。色は、壱岐島の美しい自然からインスピレーションを受けたもので、カラフルながら、透明感がある優しい色使いです。
御朱印帳入れはシンプルな作りで、御朱印帳を入れる以外にも使い方は色々ありそう。お守りケースは、長いレザーコードを結べば長さの調節ができます。ナチュラルなヌメ革の経年変化も楽しみです。神社仏閣巡りが共通の趣味、というようなお友達と色違いで、なんて楽しくないですか?
今年、これははずせない 「スマホポシェット」
「おでかけ」というワードが出たら、今年、これを紹介せずにはいられない必須アイテム。「スマホポシェット」「ショルダーポーチ」「ミニサコッシュ」など色々な言い方がありますが、要は、モバイル+α、が入る小さな斜め掛けバッグのこと。3つ続けてご紹介します。
ANNAK(アナック)のこちらは、スナップがとっても留めやすいし、内側に小さなポケットがついていて、直接ICカードを入れてもいいですね。シンプルな作りで、モバイルとミニウォレットが入る大きさです。
上品なツヤのあるANNAKとはまた全く違う本革の魅力があるのがこの馬革。表現に困る程の独特な手触りで、日本革市の会場では「しっとりさらさらです!」とご来場者様にお伝えし、笑われてしまったことがありました。でも、本当にそうなんだもん。使っていくうちに出てくるツヤが楽しみな素材です。
馬革は牛革と比べると薄い割には強度があるのが特徴ですので、面積の倍の革が必要な「メッシュ」の製法には向いているのかもしれませんね。高級感のあるメッシュでも、上部は断ち切りのままにして、ラフでナチュラルな印象を作っています。縦は22㎝なので、上記のANNAKのものより2㎝深くなり、大体の長財布は入りそう。
一方でこちらはかっちりした印象で、バッグを持つほどではないけれど、手ぶらではスタイルが「締まらない...」という時に。マチをしっかりとり、きれいなコバで仕上げた長方形シルエットは、ジャケット&パンツのマニッシュなスタイルに合うモバイルショルダーです。
ショルダーストラップは、自由に長さが変えられる穴無しベルトタイプなので、寒くなる季節のアウターのボリュームを選びません。本革ならではのエイジングが楽しめるオイルレザーを使ったカラフルな6色。ミニマリストの革好きさんにも、お洒落なファッション好きさんにも選ばれているアイテムです。
アウトドアファッションやフェスのスタイルにも合いそうな、オーガニックな雰囲気のものがお好きなかたには「エルク革」のアイテムもおすすめしたいところ。「ミニサコッシュ」として紹介されていて、マチ無しの本体に、レザーコードがついているシンプルなものです。モバイル+αを入れる大きさですが、同素材のキーケースなどをレザーコードに下げて使うかたもいるそうですよ。裏地もついていて、しっかりした作りです。お色は7色。
小さすぎない小さめ財布
スマホポシェットのお話をしたので、是非こちらを紹介させてください。
普段使いの小さめバッグのためにも、特別なシーンのパーティバッグのためにも、ひとつは持っていたい小さいお財布。ファスナーを引くワンアクションで中が全てわかる、人気のL字ファスナータイプのお財布ですが、ちょっと短め。通常のものが約18㎝~20㎝だとして、こちらの幅は15㎝です。小さくて便利だけど中がぎゅうぎゅう...ではちょっと残念。出し入れの所作も乱さない、余裕をもった大きさです。コインは外側のファスナー付きポケットに入れてもいいですし...、他に何に使いましょうか。お守り?
(ラッピングはイメージです)
毎日使うものだから、気持ちも上向きになって、内側から輝く人になれそう。今年より、来年をもっとよい年に。そんな気持ちで選びたい本革アイテムのひとつです。素材は3種類、お手元が華やぐシルバーとゴールド、コントラストがかっこいいブラック系の3色です。
今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。今年の革市通信はこれが最終回です。本革製品に「重い」「硬い」「色数が少ない」というイメージをお持ちのかたもいらっしゃいますが、払拭するのが私の使命、なんちゃって。各タンナー、メーカーがアイデアと技術を出し合って開発されたレザーを使い、私達のライフスタイル、ファッションを豊かにする製品を届けてくれています。長く続く美しさを愛でる、時間と共に変わる変化を味わう。レザー製品の魅力は多種多様です。食の副産物を使い、環境負荷をできるだけ抑えたエコな素材、「本革」。来年も、素敵なもの、面白いものをご紹介していきますね。
それでは、素敵なクリスマス、良い年末年始をお過ごしください。
来年もどうぞよろしくお願いします!
文/鎌倉泰子