素材から作りまでメイドインジャパン。
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日本のタンナーTanner

「何でも自分たちでやる」という精神性
宮内産業株式会社(長野県飯田市)

1牛革と馬革の両方を生産

中央アルプスと南アルプスに挟まれた、風光明媚な飯田市。山間を縫うように流れる天竜川は、伊那谷で松川と合流する。この松川の豊かな水資源を活用するタンナーが、宮内産業である。
創業は1937年。皮の集荷業から始まり、64年になめし業を開始。当時はスポーツシューズの踵・つま先に当てる革を中心に製造し、以後、ランドセル、家具、自動車用など、時代とともにさまざまな革を生産してきた。中でもランドセル用の革は需要が多く、国内シェアの過半数を占めている。また、国内でも数少ないコードバンのなめしが可能なタンナーとしても有名だ。
「飯田は姫路や墨田とは異なり、皮革産業の分業が確立しているわけではありません。それゆえ、すべての工程において自社で取り組まねばならず、それら一つひとつが私たちの強みとなっていると思います」
3代目の宮内清彦さんは、熱のこもった口調で語る。

2既成概念を覆す革づくり

多くの取り組みのなかでも注目したいのが、原皮の買い付けだ。ほかのタンナーでは商社を通じて仕入れることが多い原皮だが、宮内産業では直接海外の屠畜場まで買い付けに向かい、その質を確かめてから仕入れる。ネット張り乾燥も自社で行う。また、一般的なタンナーでは行わない珍しい作業として、高速液体クロノマトグラフを使った皮革のホルマリン濃度計測がある。こちらは、取引先から課されている検査の一つだが、外部の業者に発注せず、自社で機器を導入して検査をしてしまうという発想は、宮内産業ならでは。むろん、これらは一例に過ぎない。
「代々受け継がれているのが、何をするにせよ『まずは自分たちでやってみよう』という社風です。常識的なタンナーではやらないという作業であっても、お客様のニーズを満たすものならどんどん取り入れていき、既成概念を覆していきたいと思っています」
さまざまな工程を自社で賄ってきた結果、それぞれの工程を担当する職人は技術と知識を蓄え、プロフェッショナルな革づくりが可能になる。15年来の付き合いであるメーカー、ケルビムの堀内智樹さんからの信頼も厚い。

3信州の皮革産業発展に貢献

そんな宮内産業を牽引する宮内さんがジャパン・レザー・プライド・タグを使い始めたのは、2017年のこと。以前から存在は知っていたが、「お客様からその価値を力説されて申請しました」。メーカーや問屋と直接コンタクトをとっているから、小売りの現場の反応も入ってくる。サービスエリアなどでは自社ブランド製品を販売しているが、JLPタグの反応は良好だという。
そして、日本の革の魅力を普及していくのと同時に、信州の革のPRにも尽力。宮内さん自身が信州皮革産業連合(LICS)の会長を務め、皮革産業の発展に貢献している。
「2027年にはリニア新幹線が開通し、飯田駅を通ります。そこで、皮革産業と関連するツアーを組むのが私の目標です。観光資源の多い地域ですから、ほかの産業と組み合わせて、信州の革のことも知ってほしいですね」
長い歴史のあるタンナーを維持しつつ、地場産業の振興にも寄与する視点を忘れない宮内産業。このようなタンナーが、JLPタグの価値をさらに高めてくれるだろう。

2018/3/13 公開
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