独創性に富むファッション素材用の皮革を供給
株式会社 墨田キール(東京都墨田区)

ニーズに応じて多種多様な革の加工に対応

フィルム転写や箔貼りなど、バラエティー豊かな革を手掛ける。

中学生の頃から工場に出入りし、革に触れていた長谷川社長。
長谷川社長は大学卒業後、父のもとで働くようになる。日々の業務で技術を磨き、2003年に代替わりで代表取締役に就いた。製造している革については、「時代とともに少しずつ変わっていきました」。その歴史を要約すると、次のようになる。
牛革の染色から始まった同社は、時代の変遷とともに徐々にピッグスキンへとシフト。鞄用、袋物用、ベルト用と、さまざまな用途の革を製造してきた。90年代に入ると、ファッション性の高い革へのニーズが高まり、さまざまな加工機器を導入。以後、現在に至るまで、フィルム貼り、プリントロール、型押し、箔貼りなどを施した革を製造。近年は、婦人靴用や小物用の革を主軸にしている。

ベテランだけではなく、若手職人たちの存在も墨田キールに欠かせない。
高品質の革をつくるために欠かせないのが技術を持つ職人たちの存在だ。同社では、一人ひとりがどんな工程でも対応できる技術力を持ち、ベテランと若手が力を合わせて革づくりに取り組んでいる。
「支流」の仕事として舞台衣装用の革づくりにも注力

さまざまな技術を用いて舞台衣装用の革を製造。

多くのクリエイターに慕われているベテラン職人。
小ロットという観点でいえば、長谷川社長は舞台衣装の制作のみならず、個人のクリエイターやデザイナーからの依頼も受け付けている。たとえば、墨田区と隣接する台東区のクリエイター創業支援施設「台東デザイナーズビレッジ」と連携し、クリエイターやデザイナーの相談を受け入れている。この懐の深さが、墨田キールの魅力の一端と言えそうだ。
そんなクリエイター気質の長谷川社長だが、革づくりに向き合う際には、常にある気持ちを抱いているという。

「問屋さんを大切にしつつ、若手の応援をしていきたい」と、長谷川社長。
長谷川社長の発想力によって生み出され、アパレル業界はもちろん、エンタメ業界でも使われている墨田キールの革。もしかすると、日々の暮らしの中で、知らず知らずのうちに目にしているかもしれない。