素材から作りまでメイドインジャパン。
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日本のタンナーTanner

たゆまぬ研究の成果が革に表れる
株式会社 モリヨシ(兵庫県たつの市)

1独自技術で優れた家具用革を製造

1957年創業のモリヨシは、社訓に「研心(けんしん)」という言葉を掲げている。常日頃から研究を怠らず、新しい技術を意欲的に取り入れることで、製造する革のクオリティを高めてきた。
もっとも多く生産しているのは家具用革。薄手ながらも堅牢性を要求される革だが、卓越した技術でメーカーからのオーダーをクリア。銀付革の表情を活かすため、塗装工程では一枚一枚を手塗りで丁寧に染めていき、塗膜を薄く仕上げている。さらに、工場内には色校正ボックスを設置し、指定の光源の下でサンプルと照らし合わせて色をチェックするという力の入れようだ。
「家具用の革は色の均一性が求められるので、厳しいチェックが必要になります。色は天気によっても変わって見えますから、いつでも同じ環境下で確認しなければなりません」
そう語るのは、3代目の森脇和成さん。完全防水のクロム革から厚手のヌメ革までつくる職人には、「研心」という言葉がよく似合う。

2試行錯誤の末に完成したオリーブレザー

そんなモリヨシでは、よそではお目にかかれない珍しい革をつくっている。その名は、オリーブレザー。そもそもの発端は、香川県高松市に工場を構えるメーカー、エールックから「オリーブを使った革をつくりたい」と相談されたことだった。
「僕たちも初めての試みだったので、当初は試行錯誤の繰り返しでした。現在は、タイコで革を染色する際にエールックさんから指定された高品質のエキストラバージンオイルを注入しています。革にストーリーを付加してブランディングするという意味においては、オリーブレザーはとても良いアイデアだと思いますね」
モリヨシとエールックの付き合いは長く、少しのことでは揺るがない信頼関係が構築されている。森脇さんは、期待に応えるために全力を尽くした。結果、オリーブレザーを使ったエールックのプロダクトは評判になっている。

3海外の革に負けぬ安定した品質を維持

モリヨシの工場を見学していて気付いたことがある。どこを歩いても整理整頓ができていて移動しやすいのだ。この話題を森脇さんに振ってみると、興味深い答えが返ってきた。
「几帳面さは、多くの日本人の特性なのかもしれません。革づくりにも同じことが言えて、革の質自体は海外と遜色ないと思いますが、たとえば色の安定性では負けていない自信がありますし、納期もきっちり守ります。まあ、製品を使う消費者にとっては、ちょっと関係ない話になりますけど」
その橋渡しするのが、ジャパン・レザー・プライド・タグの役割。森脇さんも「『日本の革がいいよね』という認識が広まれば理想的ですね」と、JLPタグに期待をかけている。
同時に、日本有数のタンナー集積地であるたつののアピールも忘れていない。近年は「NPO法人TATSUNO LEATHER」に参加し、地場産業の発展に貢献している。
たつの発、世界行き。メイド・イン・ジャパンを引っ提げたモリヨシの革がどこまで広まっていくのか、大いに注目したい。

2018/3/13 公開
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