素材から作りまでメイドインジャパン。
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日本のタンナーTanner

軽やかでナチュラルな風合いの革づくりが信条
山口産業株式会社(東京都墨田区)

1「いただいた命」を無駄なく使いきるために有効資源化

西に墨田川、東に荒川と中川が流れる墨田区。水資源の豊富な地域として皮革産業が栄え、ピーク時にはタンナーをはじめとする関連加工業者が100以上集積していた。現在、タンナーの数は片手で数えられるほどになったが、ピッグスキンの国内生産量はいまだ9割を占める。
1938年創業の山口産業は、この地において今も稼働する数少ないタンナーのひとつ。戦後、養豚農家が増加するのと同時にピッグスキンのなめしを始め、のちに2代目が従来の植物タンニンなめしをベースとした「RUSSETY(ラセッテー)」のレシピを開発。3代目である山口明宏さんは「世界一小さなタンナー」と謙遜するが、少数精鋭でつくりあげる革は高く評価されている。
2008年からは、やむなく駆除したエゾシカ、イノシシの命=皮を無駄なく使いきる「MATAGIプロジェクト」を設立。獣皮をなめして有効資源化し、全国の産地皮革開発を支援している。また、産地から消費者までをサークルとしてつなぐ「レザー・サーカス」なるプロジェクトでコトづくり支援をするなど、先進的な活動が目立つ。

2独自技術「RUSSETY(ラセッテー)」なめしで優れた革をつくる

それでは、前述したラセッテーレザーについて解説したい。ブランド名は、朽ち葉を意味する「Russet」の語尾に、山口産業の頭文字となる「y」を加えた造語だ。枯れ葉が養分として土に還り新しい命を育むように、精肉の際に排出される動物の皮に命を吹き込み、循環型社会を実現したいという思いが込められている。
独自のレシピでなめしたラセッテーレザーは、軽やかな手触りながら強度は抜群。また、耐熱性・耐光性にも優れている。
「2代目が苦労して開発した技術を、私が受け継いでいます。詳しいレシピは明かせませんが、薬品を注入するタイミングから始まり、ドラムを回転させる時間や速度まで、すべてをベストなタイミングで行っています」
その質は国内でも評判で、錚々たる企業やブランドから信頼を寄せられている。同じ墨田区を拠点とする皮革製品メーカー『清川商店』も、山口産業の革を愛用している。
ラセッテーレザーはナチュラルな風合いが魅力の一つだが、デザイン性を付加できる余地もある。今後について山口さんは「外部のクリエイターチームと協力して、エンボスやプリントなどの2次加工をできる体制にしていきたいですね」と、目標を語ってくれた。

3JLPタグの価値をいかに高めていくかが重要

そんなラセッテーレザーをつくっている山口産業がジャパン・レザー・プライド・タグの申請をしたのは、つい最近のこと。山口さんも、JLPタグによるブランディングの成功を願っている。
「消費者が求めているのであれば、メイド・イン・ジャパンの革をプッシュしていくのはいいことだと思います。あとは、この価値をどれだけ高められるかが課題になってくるはずなので、プロモーションの仕方などに注目していきたいですね」
山口産業では、自然環境保護にも力を注いでおり、これまで一般社団法人 日本皮革産業連合会が認定する日本エコレザー認定ラベルを活用してきた。今後は、2つのタグをうまく使い分ける方法を模索していくつもりだ。

2018/3/13 公開
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