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日本のタンナーTanner

オープンマインドで幅広い顧客に門戸を開く
株式会社 三昌(兵庫県姫路市)

1レザーギャラリーでは小ロットでも購入可

1971年創業のタンナー、三昌。代表取締役社長の福本真也さんは2代目で、80年代末に入社してから、営業関係の実務を一手に引き受けてきた。
「創業当初は安全靴用の革が主力でしたが、私が東京に新規開拓の営業へ行くようになってから、袋物関係の受注が一気に増えました。当時は皮革業界の全盛期で、いろいろな注文が入りましたね」
現在は、一流ブランドに卸す革から個人の顧客が使う革までを、多品種小ロットで生産。「仕事が海外に流れているから、たくさん製品を持つことでカバーしています」と語ってくれた。
また、先述した個人の顧客に対して門戸を広げるため、2015年には1万点以上の在庫を展示したレザーギャラリーをオープン。革を手に取りやすい環境を整え、インターネット販売と同時展開することで、個人客の売上が全体の6~7%を占めるようになった。
「北は北海道、南は沖縄から革を買いに来てくださる方がいて、嬉しい限りです。このようなかたちで若いクリエイターを支援して信頼関係を築き、活路を見出していければと考えています」

2高品質でブレのない革を安定供給

レザーギャラリーには、佐賀県のメーカー「ティックワールド」が製造を手掛ける「靴工房JUMBO(くつこうぼうジャンボ)」の革靴がディスプレイされている。むろん、これらの靴に使われている革は、三昌で製造されたもの。両社は20年以上の長きにわたって取引を行っている。
「初めてティックワールドさんからオーダーを受けた当時、うちでつくっていたのは厚物の革ばかりで、靴用の革を生産するノウハウがありませんでした。最初は思ったような革に仕上がりませんでしたが、ティックワールドさんは辛抱しながら使ってくれました。そうやって待ってくれたおかげで、少しずつ技術を身に付けることができました」
福本さんは「良い革ならほかのタンナーさんにもいっぱいある」と謙遜するが、クオリティの維持には常に全力を傾けている。
「規格が安定していてブレがなく、靴を買ってくれたお客さんからもクレームがつきにくい。そんな革を安定供給するのが私たちの役割だと思っています」

3仕事の精度を上げてタグの価値を高める

自社の革の強みを「安定性」という言葉で表現してくれた福本さん。この特徴は、日本の革全般にも共通すると考えている。
「海外より高くつくかもわからんけど、技術は安定している。環境面に配慮し排水の基準もクリアしているので、安心感や信頼感も提供できると思います。あと、我々は動物の命を頂戴しているわけやから、感謝の気持ちを忘れず、情熱を込めてものづくりをするのも大切です」
このようなメリットを伝えるためにも、ジャパン・レザー・プライド・タグは大いに役立つのではないか。福本さんはそう考えている。
「一般的にはまだ認知されていませんが、時間をかけて根気よくアピールしていけば広まるはず。このタグを付けるからには、革屋もメーカーさんも責任を持って、自分の仕事のクオリティを上げていく必要があると思います」
向上心を忘れないタンナーの存在が、JLPタグの価値をより高めてくれる。

2018/12/21 公開
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