
皆さまがこちらを読んでくださっている頃、私はというと小倉の「井筒屋」様におります。すでに今年度7ヵ所での開催を終え、「残すところ九州地区であと2ヵ所!」という時ですね。百貨店だけではなく、名古屋・栄の商業施設「LACHIC」のようなファッションビルでの開催もあり、様々なお話を聞いていると、来場者の皆様がご興味を示されるアイテムは流行や地域性だけではなく、より「自分にとって必要なもの」になってきている事を強く感じました。
そんな中でも、「こういうの探してた!」「初めて見た!」「一目惚れ!」というような、ご来場者様のハートを掴んで離さない、今年の注目アイテムをご紹介したいと思います。
どこへ行っても大人気 ご予約、お問合せはお早めに
鹿革&総手縫いの2wayリュック
「日本革市」の開催告知チラシへの登場回数も多く、鮮やかなレッドが目を引く鹿革のリュック。まずは皆さま、その「手触り」に驚かれます。ふわっとしっとり、そして軽い。総本革でこの大きさでこの軽さ?!という感じ。背負うと自動的にストラップがクロスされて口が閉まるデザインで、交差したストラップをほどいて平行にすれば、「ショルダーバッグ」へと変わります。

(メーカー:KAZINO Leather Works)
ここだけのお話ですけど、2way、3wayで使えるアイテムって、「ちょっとそれは無理があるのでは...?」という無理やりなデザインのものもありますよね。アイテムに負荷がかかり、傷んでしまわないか心配になるようなものもあるほど。でも、こちらの2wayはそんなことはありません。あまりにも自然なトランスフォームぶりなので、お見せしている時に「ちょっと待って!どうやったんですか?」と言われることもあるんですよ。製品にも、持つかたの体にも優しい質感とデザインです。
お手入れもしやすいのが、KAZINOで使っている鹿革の特徴。「日本革市」会場には必ずデザイナー/職人の梶野さんがいらっしゃるので、お手入れ方法などもうかがってください。「そんなに簡単でいいの?!」となりますよ。笑 ひとつひとつ「総手縫い」ですので、作れる数も限定的。「この色が見たい!」というかたは、SNSやメーカーサイトからお問合せください。「日本革市」会場にお持ちいただけるかも知れません。
ポップなカラーで手に持つ姿は上品な2wayハンドバッグ
横から見ると台形で、マチはたっぷり11㎝。B6サイズに対応するので、iPad miniが入る大きさのバッグです。たくさん入りますが、開口部は「ドクターバッグ型」で片手で大きく開くことができ、とても使いやすそう。発色が良く、並んでいるととってもかわいいので、会場でもよく手に取られています。

(メーカー:株式会社 リーブス)
ハンドバッグのまま手に持つと、上品で背筋が伸びるようなかっこよさがあるアイテム。ショルダーストラップをつければ斜めがけもできるので、ご旅行での街歩きやレストランでのお食事など、様々なファッションにコーディネイトできます。こちらの単色の他、バイカラー、大小の大きさ違いもあります。お水に強い本革「プリズムレザー」を使用しています。
もうひとつ、ちょっと変わった形のバッグをご紹介させてください。
メッセンジャーとボディバッグのイイトコ取り
実際に背負ってみて、デザイナーさんにご説明いただかなければこの使いやすさに気付けなかったこれ!(すみません!)デザインがかっこいい「ボディバッグ」としか見ていなかったのですが、「メッセンジャー」のような容量があり、「ボディバッグ」のフィット感とコンパクトな見た目です。
たくさん入れてショルダーストラップを短めにしていても、このフラップの「カーブ」と縁に向かって広がったデザイン、本革の「滑り」が使いやすさを実現。中が見やすいので、バックパックのように一度腕を抜いたりせずに、体の前に滑らせるように持ってくるとすぐに物の出し入れができるんです。うーん...説明するのが難しいので、是非ぜひ会場で試していただきたいです!
男性にも女性にも選ばれていて、大きさは3種類、こちらは真ん中のサイズです。本体とパーツの色の組み合わせを選んで、その場で職人さんに組み立てていただける楽しいセミオーダー。会場で是非お楽しみください。
次は珍しいアイテム、先にご紹介した2wayリュックとは質感が違いますがこちらも鹿革。帽子です。
ツヤが出てくるのが楽しみ
ディアスキンのハンチング
バックスキン(牡鹿革)よりも更に柔らかく、「レザーのカシミア」と呼ばれることもある「ディアスキン(雌鹿革)」。軽いほうが好まれ、曲線を描くハンチングハットに合った本革と言えるでしょう。

(メーカー:株式会社 パーリィー)
プレーヤーの安全性とドレスコードの2つの面から、ハットの着用が求められることもある「ゴルフ」シーンで、または、あくまでもファッションアイテムとして選ばれもするハンチング。ヒップホップカルチャーの影響もあって、「クラシカル」にも「ストリート」にも「振れる」面白いハットですよね。ロゴはないけれど前後を逆にしてかぶる「BACK TO FRONT」もかっこいいですよ!「日本革市」会場に立たれているパーリィーの2代目社長はいつもBACK TO FRONTです。鹿革のエイジングが進んでツヤッツヤでした。
シューズブランドも出展しています。
持ってて便利、安心の1足
「...AshiOtO」のシューズ
トップアスリートが履くスポーツシューズの「底」を作るだけではなく、オリジナルブランド「...AshiOtO(アシオト)」もファンを集めている「株式会社 藤原化工」。足への負担を軽減してアスリートの持てる力を引き出す「ソール」を加工する技術を活かし、本革「四大産地」のひとつである兵庫県、靴の街「神戸」で60年以上に渡り、靴を作っておられます。
9月はまだ暑くて、その頃の「日本革市」ではサンダルを選ばれるかたが多かったのですが、10月になったらスニーカーが人気です。内側の微妙なカーブが足裏にフィットしますし、足の甲までをしっかりと覆うデザインは、靴紐を締めてしっかりとフィットさせれば、あとは革が馴染んでくるのを待つだけ。

(メーカー:藤原化工株式会社)

(メーカー:藤原化工株式会社)
同じくレースアップタイプですが、こちらは落ち着いたスタイリングのアクセントになるエナメルの本革シューズ。こちらはゆるやかなカーブを描きながら少しだけ上を向いたトゥはつまずきにくく、アッパーの革の柔らかさとアウトソールの柔らかさが合っているので、屈伸性も十分。インソールには豚革を使い、通気性もあります。メーカーサイトでは素材違いのお取り扱いもございます。シンプルなこの2つのモデルは、お出かけ用、お仕事用で1足ずつ持っていたらきっと便利ですよね。「キラキラ素材」は秋冬の落ち着いたカラーのコーディネイトのアクセントになりますし。
注目アイテムを幾つかご紹介しましたが、鞣し(なめし)方法、加工方法も紹介している「日本革市」で、最近特に来場者皆さまの目を引いていて、お話する機会は多い素材はこちら。デニムライク、な牛革です。
ソフトな牛革にデニム柄の型押しをしたあと、表面を少しだけ起毛させて「布帛っぽさ」をプラス。さらにお湯の中で手洗いし、こなれ感を出してヴィンテージ風に仕上げました。デニムのカジュアル感があるけれど、本革なので強度もある、ということです。そして、デニムと本革の愛すべき共通点「エイジング」はそのまま。私も使ってみたい素材のひとつです。
デニムレザー使用 2wayハンドバッグ
小さなバッグでも、やっぱり「外ポケット」は欲しいですよね。横から見た時のころんとした台形シルエットがかわいく、斜めがけをした時も体に沿って動きを邪魔しません。軽くて丈夫、使いやすそうな2wayバッグです。
今日は最後にもうひとつ。「日本革市」会場で、来場者のどなたかに必ず聞かれるアイテム!をご紹介させてください。どの地域でも必ず聞かれるアイテムがペンケースなんです。会期前に、お電話での問い合わせもあるほど。すぐに必要ではないけれど、皆さま「いいのがあれば...」とお探しのものなのですね。
「日本革市」会場でご覧いただけるペンケースはこんな感じ。今は自筆で文字を書く機会は前に比べてどんどん減ってきているし、会社で文具は支給されず、自分で用意しなければいけないこともあるのだと思います。だからこそ、自分が気に入ったものを使いたい、頻度は多くなかったとしてもずっと使うのだから、長く使えるしっかりした作りのものが欲しい、ということなのだな、と思います。
長くなりました。最近の注目アイテム...に紛れて私の推しアイテムをご紹介させていただきました。
さ、「日本革市」も今年残すところあと1ヵ所、小倉井筒屋百貨店を終えたら、翌々週にもう一ヵ所、九州地区を残すのみ。開催情報は「日本革市」Webの「開催情報」からご確認ください。各出展社のWebサイトなどで見たお品物の中で、実際に手に取ってみたいお品物があれば、是非問い合わせてみてくださいね。「素材から作りまで メイド イン ジャパン」がコンセプトの「日本革市」ですので、日本で鞣した(なめした)本革の物でしたら、お持ちすることもできるかもしれません。もちろん九州地区2ヵ所にもわたくし鎌倉はお邪魔します。皆さまにお会いできるのを楽しみにしております。
それでは、また。
次回の革市通信は12/15(金)クリスマスギフトの特集です。
お楽しみに。
文/鎌倉泰子