素材から作りまでメイドインジャパン。
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日本の皮革製品メーカーMaker

京都発信の世界ブランドを目指すクリエイティブチーム
株式会社 京でん(京都)

1ニーズに基づいたものづくりが信条

2005年にアパレルメーカーとしてスタートした京でん。京友禅ジーンズをはじめとするカジュアル衣料の卸販売をメインにしてきたが、「一からものづくりをしてお客様に届けたい」との思いから、2013年に革小物ブランド「COTOCUL(コトカル)」を設立した。
「設立当時は縫製の技術のある人間がいたわけではありません。僕自身もレザークラフトの学校に通いましたが、まったく向いていなかった(笑)。若手のスタッフがさまざまな場所で学び、技術を磨いてくれたおかげで、本格的な始動に至りました」
屈託のない笑顔でそう語るのは、代表の竜田昌雄さん。竜田さんは京都の出身で、「COTOCUL」という名称も、「古都」と「カルチャー」を組み合わせた造語となっている。
「この名前は、クラウドソーシングというサービスを通じてWEB上で募集したなかから選びました。製品をつくるにあたっても、利益は考えず、クラウドファンディングでニーズを調査してから制作を始めたことが数回あります。なぜかというと、お客様の声という客観性を製品に取り入れたいからです」
現在、アパレルとレザーアイテムの比率は7:3から6:4程度だが、「COTOCUL」のアイテムが着実にファンを増やしつつあることは確かだ。

2黒桟革のオーラがプロダクトを輝かせる

そんな「COTOCUL」のプロダクトと不可分なのが、姫路の坂本商店が製造する「黒桟革(くろざんがわ)」である。2015年、竜田さんはレザーフェアで偶然出会ったこの革に一目惚れした。
「まだまだレザーについての知識がそれほどなかった僕にもピンとくるインパクトがあり、漆という手法のわかりやすさにも惹かれました」
後日、竜田さんは坂本商店を訪問。同社の代表を務める坂本弘さんとは、共通の趣味である剣道の話題で盛り上がり、意気投合。そして、仕事に関しても協力を得られることとなった。
「黒桟革はとにかく風合いにオーラがありますよね。持っているだけでも誇らしくなるというか、そういうアイテムがつくれる革だと思います」
現在、「COTOCUL」における黒桟革を使ったプロダクトでとくに人気なのは、名前どおりのスモールサイズが魅力の「小さなお財布」。小型ながらも紙幣を折りたたまず収納できる使いやすさが何よりの魅力で、外出が快適になると口コミで評判。また、驚くほどスリムな長財布なども人気がある。
竜田さんは、「半年後、一年後に同じ場所で開催するイベントに行ったとき、お客様がご友人を連れてこられるのが何よりの喜びです」と、目を細めた。

3ものづくりを通じて必要とされる存在に

順調な展開を見せる「COTOCUL」。竜田さんは今後の展望について、「京都発信の世界ブランドにしたい」と、意欲的だ。
「若手スタッフも、自分のつくったものが海外で使ってもらえたり、仕事を通じて海外に行く機会を得られたらうれしいと思うんです。これまでも、海外の展示会に数回出展しましたが、反応はけっして悪くありませんでした。需要のある製品を見極め、ビジネスパートナーを探して、うまく軌道に乗せていきたいですね」
また、竜田さんは仕事の意義を深く考えている人でもある。「クラフトマンが輝けばプロダクトも輝く」という持論から、スタッフが技術を伸ばすための環境づくりにも力を入れている。
「なぜこの仕事をしているのかとよく聞かれますが、シンプルに自分の人生を充実させるためです。僕は、お客様にありがとうと言われたり、スタッフの成長を実感したときに充実感をおぼえます。ものづくりを通じて社会に必要とされる存在になりたいという思いが強いです」
「革の黒ダイヤ」と呼ばれる日本の伝統的な黒桟革を用いて、自らの理想を追い求める竜田さん。歴史ある古都より発信される「COTOCUL」の今後に要注目である。

2019/11/13 公開
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