素材から作りまでメイドインジャパン。
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日本のタンナーTanner

馬革の良さを引き出し、ユーザーの声に耳を傾ける
アークレザージャパン株式会社(兵庫県姫路市)

1両親からの贈り物で、天然皮革の魅力に気づく

「この仕事に興味を持ったのは、大学時代に両親からもらった二つ折りの革財布がきっかけです。その財布は、両親がつくっている天然皮革(馬革)を使ったものでしたが、毎日、デニムパンツの尻ポケットに入れて使い始めてみると、自分の身体に馴染んでいくような、何とも言えない良さがありました。このときに、親の仕事と天然皮革について、初めて強く意識するようになりました」
アークレザージャパンの寺越博之さんは、そもそも家業のタンナーを継ぐつもりがなく、両親からも「継がなくていい」と言われていた。製革業を生業とする両親を持ちながらも、その仕事内容に深く興味を抱くこともなかった。しかし、この革財布が人生の転機となる。
大学卒業後は姫路の商社で働き始めるものの、天然皮革への想いが膨らみ、3年で退職。皮革大学校の講座を片っ端から受講して基礎を学びながら、親類の経営するタンナーで研鑽を積み、その後、両親のもとで働き始めることになる。
アークレザージャパンの前身である寺越産業は戦後1946年創業。高級革靴の裏張り用の馬革を中心に製造してきたタンナーだ。寺越さんは2013年に父から後を継ぎ、歴史あるタンナーの代表となった。

2馬革の魅力を引き出す、やわらかな仕上がり

現在、同社で製造しているのは、かばん・袋物、革小物、アパレル衣料用の馬革がメイン。タンニンなめしとクロムなめしの両方を行っており、工場内では35年以上使っているという年季の入ったタイコを拝むことができる。
「馬革の持ち味を引き出すために、できる限り努力をして、やわらかく仕上げるよう心がけています」 父からバトンを受け取り、ひたむきに努力を続けていた寺越さんだが、しばらくするとある悩みを抱えるようになる。
「この業界で働き始めて思ったのが、消費者のみなさんとの距離感があることです。私たちタンナーと消費者の間には、問屋さん、メーカーさん、小売店さんなどがあり、消費者の方たちが何を求めているのか、さっぱりわかりませんでした」
そんな折、ある百貨店の催事で転機となる出会いが待ち受けていた。

3消費者の声が耳に届くスタイルを追求

その相手は、神戸を拠点にするHozumi KABANの代表を務める保住健典さん。
「天然皮革の話で盛り上がって、『一回行きますよ、馬革を見せてください!」みたいなノリで、当社までいらしてくれて。とにかく天然皮革がお好きな方で、『革らしい革で勝負したいんです』と言われたときは、本当に嬉しかったですね」
現在、Hozumi KABANでは、アークレザージャパンで製造している「ムスタング」という馬革を使ってプロダクトを制作している。寺越さんと消費者の間に立つのはメーカーの保住さんだけで、ユーザーからの反応も保住さんの口から聞くことができる。寺越さんは、「今後も保住さんとお付き合いしていきたいし、別の方ともこれくらいの距離感で仕事ができれば理想的です」と、目を細めた。
そんな寺越さんがつくるのは、メイド・イン・ジャパンの天然皮革。ジャパン・レザー・プライド・タグのコンセプトにも共感している。
「素材が日本製なのか海外製なのか、天然皮革なのか合成皮革なのか、消費者の立場になると、いま一つわかりにくいこともありますよね。そんなとき、製品を買う目安の一つとして、このタグを見てもらえると嬉しいですね」

2018/3/13 公開
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