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日本のタンナーTanner

チーム和歌山でものづくりにチャレンジ
有限会社大星産業 × 株式会社ノースアヘッド

チーム和歌山でものづくり。左から、前北周政さん、朝倉社長、前北社長。

これまでありそうでなかった、和歌山のタンナーとメーカーによるコラボレーションが実現した。はたしてどのような経緯で両者は出会い、協働するに至ったのか。有限会社大星産業の朝倉譲治さん(以下、朝倉社長)、株式会社ノースアヘッドの前北泰司さん(以下、前北社長)、前北社長の息子であり営業部に所属する前北周政さん(以下、周政さん)による鼎談を開催し、メイド・イン・和歌山のものづくりについて話を聞いた。

立体感と光沢が特徴のモザイクステンドを使用

朝倉社長と前北社長の出会いを教えてください。

バラエティーに富む型押し革の中でも人気のモザイクステンド。

前北社長

インターネットで和歌山のタンナーを調べていたときに、大星さんの記事を読みまして。お恥ずかしい話ですが、和歌山が革の産地であることこそ知っていたものの、現在進行形で続いているタンナーさんがあることは存じ上げなかったんです。以前から地元の革でメイド・イン・和歌山の製品をつくりたいという思いがあったので、さっそく電話をしたところ、朝倉社長に快く話を聞いていただきました。

朝倉社長

それからすぐに前北社長がうちに来てくれて。うれしかったですよ。うちの革や型押しの版をいろいろと見てくれて。

前北社長

僕にはお宝の山のように見えました。革に詳しいわけではありませんが、朝倉社長がいろいろなチャレンジをしていることが伝わってきて、その姿勢に共感しました。絶対勉強になると思ったから、二度目は息子の周政も含めた会社のスタッフと一緒に見学させてもらいました。

周政さん

工場を見学させていただいて、一枚の革をつくるのにどれだけ手間暇がかかっているのかがよくわかりました。一緒に見学したスタッフと「端切れも簡単に捨てられないね」と話し合ったことをよくおぼえています。

和歌山県海南市にあるノースアヘッドの広々とした工房。

前北社長

その後、朝倉社長がうちに来てくださったこともありました。

朝倉社長

そう、工房を見せてもらいました。隣町の海南に素晴らしいメーカーがあることに驚いたね。和歌山には革製品を扱うメーカーがほとんどなくて、一緒にものづくりをするのは今回が初めてや。

製品をつくるにあたり、前北社長がモザイクステンド(ステンドグラスレザー)を選んだ理由は?

前北社長

大星さんに魅力的な革がたくさんある中で、ステンドグラスのような柄が目に飛び込んできて。僕はレトロなテイストのアイテムをつくりたかったのですが、この革であればイメージする製品をつくれるのではないかと思ったんです。

一枚一枚を手作業でつくるモザイクステンド。

朝倉社長

モザイクステンドはうちのロングセラーで、定番カラーは通年ストックしてある。凹凸のある立体感と、ウレタン樹脂でコーティングした光沢が特徴や。この革は、コバをヘリ返しで巻き込むと割れるから、最初にそれを前北社長に伝えて。完成した財布を見るとわかるけど、切りっぱなしでうまくやってくれましたわ。

革の発色の美しさが際立つ機能的な財布が完成

前北社長に伺います。モザイクステンドを使用した財布は何種類あるのでしょうか。

モザイクステンドを使用した長財布とコンパクト財布。

前北社長

モザイクステンドを使った財布としては、コンパクト財布と長財布の二種類があります。モザイクステンドは発色が本当に綺麗なので、この美しさを損なわず、いかに前面に押し出せるかを第一に考えました。

こちらの財布の特徴は?

前北社長

キャッシュレス時代に合わせて、カードをたくさん収納できるようにしました。コンパクト財布は9枚、長財布は18枚収納可能です。

カードの代用としてアプリを利用する人が増えていますが、財布のニーズはまだありそうですね。

前北社長

そうですね。まだまだカードを使っている人は多いですし、カードをたくさん持っている人は、必然的に収納量の多い長財布を選ぶようです。

ディティールでこだわったポイントは?

ノースアヘッドの工房でミシン掛けをする職人。

前北社長

長財布でいえばフリーポケットです。買いものをしたときにおつりとレシートを入れると、レシートはフリーポケットに収納され、おつりの小銭は下部のコインケースに落ちるかたちで自動的に仕分けされます。コンパクト財布にもフリーポケットがあり、こちらは紙幣を折らずに収納することができます。また、長財布は無料、コンパクト財布は有料でプレートの取り付けが可能で、イニシャルなどを刻印することができます。

前北社長は、ふだんのものづくりで心掛けていることはありますか。

メイド・イン・和歌山でものづくりにチャレンジ。

前北社長

根っこの部分には、マーケティング重視ではなく、自分がいいと思えるものをつくりたいという思いがあります。

メイド・イン・和歌山のプロダクトが完成し、今後の展開が楽しみですね。

別の革についても打ち合わせ、さらなる改良を目指す。

朝倉社長

地元のメーカーに出会えて、うれしいし、心強いです。うちができることは何でも協力したし、型押しの革を使っていろいろな製品をつくってほしいです。

周政さん

僕たちが和歌山の革を製品にすることで、地元のエナメル革が全国トップのシェアを誇っていることを知ってもらえたらいいな、と思います。

前北社長

これからも、朝倉社長のチャレンジ精神を見習いつつ、和歌山の革の魅力を伝えられるような製品をつくっていきたいです。

2025/09/12 公開
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